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事務ミスで処分?

 参議院選挙に関連して、選挙の事務ミスについてこのブログ(7月25日)で書きました。その後も、ネットのニュースアラートでは自治体の選挙でのミスの報道が紹介され、その中には「ミスに伴い、職員を処分」というものが複数含まれています。
「ミスをした当事者を処分(減給など)する」ことに、みなさんはどう感じますか?
「その人の責任だから当然」と思う方もいらっしゃるかもしれません。いや、むしろそのように考える人が多いから、処分が行われるのでしょう。
 しかし、私は大きな違和感を感じます。
まず、本当にその職員の責任でミスが発生したのでしょうか?
確かに、読み間違え、書き間違え、取り違えなどのエラーはその人の行動であることは確かです。それでは、そのエラーはその職員の怠慢や故意によって起きたのでしょうか?
 この答を責任をもって語るだけの情報が公開されていなので、ここから先は、私の経験に基づく推測です。私は長年にわたる信託銀行勤務の中で、「事務」を担当する部署の管理職や経営者としての仕事を多く経験しました。ミスが起きればお客さまにご迷惑がかかり、また場合によっては経済的な損失が発生することもあります。したがって、常に「ミスゼロ」が求められ、担当する人たちも相当気を使いながら仕事をします。しかし、残念ながら意に反してミスは起きるのです。
 そして原因を調べてみると、帳票の欄が紛らわしいい、連日の長時間残業で疲弊していた、など、担当者の能力の限界を超えると考えられる事例もありました。また、「目を変えてチェックするルールになっていたが、1人でやってしまった。」という例も珍しくありません。しかし、なぜこのルールが守れなかったのか?という点まで掘り下げなければ、また同じことが起きてしまうのです。そして、「単純ミス」といわれる事例ほど、その根絶は難しいものです。その理由は、一見単純に見えるミスは「注意喚起」や「厳重注意」で済まされる傾向にあるため、その背景に潜む「人員不足」や「不適切な作業環境」など、根本的に解決すべき問題が置き去りにされるからです。
 選挙実務はさほど複雑な仕事ではないと考えられるため、この「単純ミス」に近い状況であると推測できます。したがって、「当事者を処分する」という扱いに強い違和感を覚えるのです。
 さらにもう一つ不思議なことは、選挙の仕事は日本全国の多くの自治体で実施され、ミスやトラブルは決して一つの自治体に限定されているわけではありません。であれば、原因分析や対策検討に関して、もっとお互いの情報交換や勉強会があってもいいのではないでしょうか?
 「犯人を捜して罰する」という考え方をあらため、「真の原因を行い、有効な対策をみんなで考える」ことが必要です。

 

#事務ミス #単純ミス #選挙