経営デザイン

 先日、大学院時代の研究室の合宿が早稲田大学軽井沢セミナーハウスで行われ、恩師の吉本一穂先生の依頼で、学生・院生に講演をする機会をいただきました。
 講演のリクエストは「経営デザインのビジネスへの適用」という壮大なものでした。経営デザインは、研究室が属する専攻科目の名称にもなっており、大学(早稲田大学理工学術院)の資料によると「価値創造事業マネジメント技術」を学ぶものと定義されています。理工学部出身の学生と実務経験を持った社会人が同じカリキュラムで共に学ぶシステムとなっていることから、平日夜間の授業と土曜日を使った演習で運営されています。
 私は社会人第1期生として2010年~11年に在籍しました。今回、このテーマでお話する中で、自分自身の学びの棚卸ができたと実感しています。在学中に学んだことで、自分の糧となっているものは何か?と考えたところ、次のとおり整理できました。
1.IE(生産工学)などの工学的手法とその活用
2.ニーズの本質、要求機能定義の重要性
3.サプライチェーンなど、上位の視点からの問題解決
4.トヨタ方式、BPO、BPRなどの具体的な理解
5.プロジェクト演習、論文検討会、合同ゼミでの「厳しい経験」
 「厳しい経験」とは、自分の考えを教授や研究室メンバーの前で発表し、四方八方からの質問攻めにあうというものです。「針のむしろ」状態になってもたじろがず冷静に対応する力を養ったことがその後の実務の中で役にっていると実感しています。
 信託銀行での証券代行業務等のプロセッシング業務(事務受託等)の中で遭遇した問題を解決すべく勉強し、大学院で学んだことをまた実務やコンサル活動で活用してきた経緯を中心に話をしました。
そして、以下のメッセージで「まとめ」としました。
1.上司や先輩の発言への「疑問」が出発点
例:注意していれば事務ミスは起きないのか?
2.直接目に見えるものの奥にある「本質」を追い求める
例:「事務」はどういう仕事なのか?
情報の加工と連携によりサービスを提供する仕事。
例:「事務ミス」は事務セクションのメンバーだけが努力すれば防げるのか?
3.ヒント、ネタは「隣の畑」や毎日のニュースの中にもたくさんある
例:モノづくりの「品質コスト管理」をオフィス系の仕事に応用。
例:社外取締役導入など、ガバナンスの優等生の会社でも不祥事が起きるのは何故か?
4.「自分にしかできないこと」「自分だからできること」を探そう
例:証券代行業務経験を、「オフィスワーク生産性向上」の研究とコンサルに活かす。
講演後、質疑応答が活発に行われ、参考になったとのご意見もいただけたのが何よりでした。
今回の経験をこれからの自分の研究や実務のエネルギーとしていきたいと思います。

 

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