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オフィスワークの生産性を測る

【テレワークと生産性の話題】
昨年のコロナ禍以降、「テレワークで仕事の生産性はどのように変化したか?」という話題が取り上げられる場面が増えています。複数の調査結果から、担当者、若い人、女性は、通勤に伴う移動時間が節約され、上司からの声掛けなどの邪魔が入らないことから、「生産性が上がった」と感じる傾向が見られます。
一方で、管理職、年配者、経営者は、部下の仕事の進捗見えない、コミュニケーションがとりにくい、アイディアを出し合う打合せができない、などの理由から「下がった」と感じている人が多いようです。
【そもそも生産性とは?】
これらの報告結果を見ると、なるほどと感じると同時に、「そもそも、生産性をどのようにして測っているのだろうか?」という疑問が湧いてきます。
回答者は、「予定していた仕事がどれだけ進んだか?」ということを基準に回答していると推測されます。
また、調査の一例として、「出社して行っていた時を100として、テレワークでの生産性を数字で表す」という工夫も見られます。
しかし、これらはあくまで「感覚」であることに変わりはありません。
モノづくりであれば「1時間に何個造れたか」という形での明快な把握が可能ですが、オフィスワークでは同じ「報告書1件」でも、その内容によって重みが全く異なるという難しさがあります。
巷には「生産性」のテーマで多くの書籍、記事が出ています。
しかし、そのほとんどは「どのようにして生産性を上げるか」について述べていますが、特にオフィスワークについて「生産性をどのように評価するか」について論じているものは極めて少ないのが実情です。
【オフィスワークの生産性定量評価にチャレンジする】
このように見てみると、あらためて、「生産性」とは実に不思議な言葉だ、と痛感します。
「感覚」のままでも、全員が「上がった!」と感じれば、それもひとつのやり方なのかもしれません。
しかし、冒頭でご紹介したように、調査結果は経営者と担当者では評価に違いがあることを示しています。
したがって、このままでは企業としての生産性に関する目標を実現することは困難と考えられます。
「生産性向上なくして残業削減なし」のコンセプトに基づいたオフィスワークにおける生産性の考え方とその向上の取り組み方などについては、最新刊「これからのオフィスワークマネジメント」の第4章第5節、そして動画シリーズの「vol.5」でご説明していますので是非ご活用ください。
また現在、損益計算書を原点とした上で、日常の活動実績に基づき、オフィスワークにおける生産性を定量評価する仕組みを研究中です。損益を向上するために必要な成果、それを生み出すための活動という順番でブレイクダウンし、トラブル等に伴うマイナス効果もカウントして、生産性を客観的に評価しようというものです。
11月の日本経営工学会の秋季大会で発表し、今後実用化に向けてさらに研究を深める予定です。
#テレワーク #生産性 #オフィスワーク