· 

SDGsとイノベーション

 日本環境管理監査人協会(JEMAS)主催の講演会に参加しました。SDGsを形だけのものにせず、いかに実務の中で有効に実現するか?というテーマで複数の報告がありました。
 そして、メインイベントは埼玉県の産廃処理会社、石坂産業の石坂典子社長のお話でした。
 創業者である父親の「ゴミを100%再生できる会社にしたい」という想いを受け、「1年限定見習い社長」からスタートした現社長が、「地域に受け入れられる会社にしたい」、さらに「社員の子供が親の仕事を誇りに感じる会社にしたい」という強い想いを実現しようと、長年にわたって築いてきた道のりを、約90分に凝縮したお話でした。
 この素晴らしいビジョンの裏側では、現社長就任早々「半年で社員の4割が辞めた」、ダイオキシン風評被害から再生するために事業規模縮小(焼却施設廃止→再生工場化)のための多額の投資判断を決断、などの苦しい場面が多々あったということです。
 そして、地域との共存をめざして里山再生という生態系保護に大きく貢献する活動に踏み出したものの、社内では「BtoBの会社がなぜ地域社会住民を対象にボランティア活動?」などの疑問も多かったそうです。
 当日の全体テーマであるSDGsに関して印象に残ったのは、「再生パートナーとして製造業者から理解され、社会全体で製品リサイクル100%を実現すること」という素晴らしいコンセプトでした。7月9日の私のブログで、「イノベーションはや『やろう!』ろうという強い想いを持ち続け、複数の当事者を巻き込み、既存の仕組みを組み合わせて活用して具体化する」ことがポイントであると書きました。まさに今回の石坂社長のお話は「強い想い」が直に伝わってくる感動がありました。そして、「複数の当事者」の最重要人物は恐らく創業者である父親でしょうが、さらに環境コンサルや自治体の担当者などが重要な役割を果たしていると感じました。私としては、「半年で社員の4割が辞めた」という難局をどう切り抜けて新規採用を成功させたか、そして社員との「共感」をどのように創っていったのか、などについても是非知りたいと感じました。
 SDGsに貢献する具体的な企業活動とイノベーションに真正面から取り組んできた経営者の方の感動ストーリー、私のブログだけでは十分にお伝えしきれないのが残念です。石坂社長の「産廃処理会社からエネルギーサプライヤーへの転換」を目指しているとのお話で、私も大きなエネルギーをいただいた次第です。
(写真:石坂産業株式会社パンフレットから)
<7月9日ブログはこちら>

 

#SDGs #イノベーション